神話

琉球神話は地域によって細部が違って伝えられてはいますが、多くの共通点があり、もともとは一つのもであったと想像されます。代表的なものとして、琉球王府がまとめた正史をとってみましょう。

阿摩美久(アマミキヨ)という女神が下界に降臨して琉球の島々をつくります。そこへ一組の男女神を住ませます。この夫婦の間に三男二女が生まれ、長男は(天孫と名乗る)王の、次男は按司(アジ)の、三男は百姓の、長女は神女の、次女は巫女(ノロ)の、それぞれ祖先となります。王は琉球を3つに分割し統治したといわれます。
阿摩美久という最高神が女神であることや、夫婦神の降臨など、日本の神話と似ており、同じ系統に属するものだと分かります。また興味深いのは、天孫王統が琉球を3つに分けたとする記述で、これは三山時代を反映しているかと思われます。

ニライカナイ

ニライカナイ(もしくはニライ)とは、沖縄、南西諸島各地にある伝承です。地域や島によって内容は様々ですが、多くは遠い海の向こうに存在し、神々が住むとされる楽土をいいます。人はニライカナイから生まれてき、死ねばニライカナイへ帰ると考えられてきました。ニライカナイの神々は、海を渡り琉球を訪れ、その年の豊作や幸福を人々に運ぶとされます。

これはいわゆる「異界・異人信仰」に類した伝承と考えられます。
従って他の異界(異人)信仰と同じように、ニライカナイの神々も不作、疫病などの災厄を運ぶことがあります。
四方を海に囲まれた琉球民族は、浜辺に打ち寄せる色々の物や、海を渡って訪れる異国の人間との関わりから、ニライカナイを信じるようになったのではないかと思います。